設計料について

Ⅰ. 業務報酬基準の見直し

業務報酬基準は、建築士法第25条の規定に基づき、建築主と建築士事務所が設計・工事監理等の契約を行う際の業務報酬の算定方法等を示したものです。構造計算書偽装問題を踏まえ、平成18年8月に取りまとめられた社会資本整備審議会答申において旧業務報酬基準(昭和54年建設省告示第1206号)の見直しが指摘されました。

これを受け、建築士事務所に対する実態調査等を行った上で、平成21年1月7日に新しい業務報酬基準 (平成21年国土交通省告示第15号)が定められました。

その後、平成29年7月の報酬基準における実態調査や委員会協議の後に、新しい業務報酬基準が平成31年国土交通省告示第98号として公布・即日施行されました。

令和3年8月に再度業務報酬基準の見直しに向けて検討が開始され、新しい業務報酬基準が令和6年国土交通省告示第8号として公布・即日施行されました。

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建築士法25条とは

国土交通大臣は、中央建築士審査会の同意を得て、建築士事務所の開設者がその業務に関して請求する ことのできる報酬の基準を定め、これを勧告することができる。

 

令和6年国土交通省告示第8号とは

①実費加算方式もしくは②略算方式にて業務報酬料を算定する。

        


Ⅱ. 令和6年国土交通省告示第8号

①実費加算方式

 直接人件費+直接経費+間接経費+特別経費+技術料等経費+消費税相当額により算定されます。

 

②略算方式

 直接人件費×2.1+特別経費+技術料等経費+消費税相当額により算定されます。

 (略算方式の場合に使用する人件費は、告示に示された「建物別による標準業務量」を参考とします。)


Ⅲ. 当事務所の設計料算定方法

 上記に示した告示第8号の②略算方式に則った算出方法ですと、当事務所の業務報酬としては高額となってしまい、実情とは かけ離れてしまいます。したがって基本的には①実費加算方式を採用し、以下のような業務項目合計として算定致します。
     
Ⅰ.企画料

計画建築物の概略法規を調査し、それに基づいた基本計画の設計を行う業務料。

ほぼ確認申請提出前の段階。

     
Ⅱ.事前協議・建築確認申請その他許認可申請手続業務料

各許認可申請の為の書類作成、申請・審査手続き、それに伴う申請料が含まれます。

 
Ⅲ.設計(実施・デザイン設計)料+現場監理料(立会い検査含む)

詳細設計業務、構造・設備設計料(外注費)、1週間に一度程度の現場打ち合わせの他、工期内での設計対応業務料。
 
上記に示しました業務を考慮して設計料を算出致します。したがって計画建物によって、設計期間や
工事期間も様々となる為、俗に言われている「工事費の何%」という表現はできません。又そのような「何%」方式は正確な業務報酬を算定する趣旨からすれば「悪しき風習」と言わざるを得ません。

 
以下に当事務所の算定方法に基づいて算定した設計料の例を示しますので、御参考にしてください。

  

≪参考例

木造2階建て(延床面積120㎡、36坪、工期6ヶ月)

1人工49,000円/日(令和5年度 国土交通省単価の「主任技師ランク62,200円」を基準とし、それの8割と考え49,000円としています。)にて算定、建設地は都内近郊を想定。

Ⅰ.企画料    10人工×49,000円=490,000円

Ⅱ.事前協議、建築確認申請、認可申請手続業務料

  ・作業料(書類作成、申請作業)7人工×49,000円=343,000円

  ・確認申請料(完了検査料含む)35,000円(確認申請)+29,000円(完了検査申請)=64,000円

               計 407,000円

Ⅲ.設計(実施・デザイン設計)料+現場監理料(立会い検査含む)

  実施設計業務料 10人工×49,000円=490,000円

  現  場  監  理  料 24人工×49,000円=1,176,000円

               計 1,666,000円

 

以上の合計で 2,563,000円となり、消費税が256,300円が加算されて、総合計2,819,300となります。

建設地の距離、建物の規模や用途(特殊建築物等)によっては、上記の例に交通費等の経費、構造・設備設計料や審査検査料が加算されますので御注意下さい。

上記はあくまでも参考ですので、実際は金額内容は上下するかと思います。いずれにしても、お客様のニーズに沿った設計料の御提案を心がけておりますので、お気軽に御相談下さい。

 

例えば上記の例を国土交通省告示第8号の略算方式に沿って算出すると、以下のようになります。(人工数値は告示別添資料による)

直接人件費

設計42人工(338人・時間)+現場監理18人工(149人・時間)=60人工

60人工×2.1×49,000円=126人工×49,000円=6,174,000円となります。

このように当事務所の設計料算定は実際に即したものであることがおわかり頂けると思います。 

 

(同業者による上記文面の転記厳禁。以前にも当文章をそのまま流用した同業者サイトを発見し、即刻訴えました。発覚した場合は法的措置を取ります。)